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競馬コラム第19回 コスモバルクに賭けられた想い

コスモバルク号が皐月賞に出走する。馬主の岡田氏にとって、この馬でクラシックに挑むことは、ただ今まで追い求めてきた栄光、という以上の意味を持つものである。


この間、某有名スポーツ雑誌を読んでいたら、こんな記述があった。
「安馬の悲しさで、いつ廃止されてもおかしくないと言われて久しいホッカイドウ競馬に配属されてしまう。ただひとつ幸運だったのは昨年から全国に先んじて始まった外厩制度がマッチングしたこと」
大きな事実認識の誤りである。
文章引用しておきながらソース名(雑誌名)を出さないのは武士の情けといってもよい。このような認識でしかないのは競馬を良く見ていない証拠だ。
競馬についての話題を扱うなら、昨年のこの「外厩制度」という新制度について、導入に一番尽力した、コスモバルクの馬主、岡田氏のことを知っていてもよかろう。
そして、コスモバルク号が入厩している外厩が、岡田氏の「ビッグレッドファーム」であることを考えれば、そしてコスモバルク号が岡田氏を中心としたオーナーズクラブの持ち馬であることを考えれば、ホッカイドウ競馬に在籍した理由が見えてくる。

伝わっている話はこうだ。
岡田氏は、ホッカイドウ競馬の外厩制度を確立させるために尽力した。
これが上手くいけば、JRAでの外厩制度、制度改革にもつながる動きで、彼の主張から考えれば、外厩制度導入に動くのは当然だし、自分のところでやるからには成功させたい。
また、氏はホッカイドウ競馬存続のためにも尽力しており、時には多忙の合間を縫って無償でホッカイドウ競馬の解説を行うなどしてきている。
以上のことから、新しく始まった外厩には、ぜひともいい馬を入れて、活躍させたい、という思いがあった。

コスモバルクは安値で買われた馬だが、この値段は相場と乖離したものでなく、今回取り上げた別の箇所の「原価割れの安値」といった表現もまた、誇張だ。
岡田氏は、この馬の能力を評価しており、「一口馬主クラブで売れそうにない血統だから」という理由でオーナーズクラブで所有することにしたこの馬を、ホッカイドウ競馬に配属したのは、あくまで「能力のある馬を外厩に入れて成功させる」ためだった。
たまたま、外厩が始まったからラッキー、というのは誤りで、外厩があったからこそのホッカイドウ、である。
確かにそこにたどり着くまでに「安馬だったから、一口馬主に供されず、ホッカイドウ行きとなった」側面はあるものの、しかし、意図されて用意されたヒーローである。

この馬を、異端児、とその雑誌は結論付けている。
しかし、この来歴を考えるに、この馬は、次時代のヒーローを生むであろう、外厩制度からの、最初のヒーローである。
時代に先んじることを「異端」と評するのは簡単だが、それは旧時代への盲信に過ぎない。
時代の先端児であり、(←1文字だけ変えてみた。ちょっと変)次代のヒーロー、武田騎馬隊をやぶった織田の鉄砲隊みたいなものである。
時代が変化を見せるとき、それを異端と捉えるだけでは進歩はない。
旧時代の英雄は自らのため、次世代がさらなる進化を遂げるため、必死で抗い、時代を変える男はそれを糧にさらに進化する。
新時代を拓くための使者がコスモバルクなのである。
皐月賞は明日に迫ったが、この馬の健闘に期待したい。

2004年4月17日
青空に新時代を夢見て
by blue_blog | 2004-04-17 09:07 | 青色文庫